「今まで住友ファーマの自主性や独立性を非常に重視していたのは事実。今回はこういう事態になったので、運営の在り方を抜本的に改める」。4月30日、経営戦略説明会の場で住友化学の岩田圭一社長は語った。

 「こういう事態」とは住友ファーマが特許の崖(パテントクリフ)を乗り越えられず、業績不振に陥っている状況を指す。主力の抗精神病薬「ラツーダ」の米国での独占販売期間が2023年2月で終わったことを受け、同社はラツーダに代わる「基幹3製品」の拡販に力を入れてきたが、売り上げは伸び悩んでいる。

 親会社である住友化学は基幹3製品の一つである子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」の特許権について1334億円の減損損失を24年3月期に計上。のれんの減損358億円などと合わせて、住友ファーマ関連で総額1808億円の大減損となった。同社の24年3月期の連結決算(国際会計基準)は過去最大となる3120億円の赤字となる見込みで、岩田社長自ら「危機レベルの数値」と表現する。

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