2024年6月17日号
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PROLOGUE
アサヒビール、想定外ヒットを生む訪日消費
アサヒビールが世界発信拠点の設置などでインバウンド(訪日外国人)向け事業に注力する。きっかけは、新商品「生ジョッキ缶」が訪日韓国人の間で大人気になったことだった。
PART1
5兆円消費、体験型にシフト ツタヤも変わる 訪日消費に4つの進化
銀座に大型バスで乗りつけた中国人が、高級品を買いあさるのは過去の姿だ。統計データを調べ現地取材を重ねると、訪日消費の変化が見えてきた。体験型のすし店やトイレツアーなど。外国人は体験型消費にシフトしている。
COLUMN
「渋い体験」に引かれる外国人たち
海外でも日本の情報があふれる中で、訪日客は何を求めているのか。欧州やアジア、北米からの訪日客に、それぞれの印象深い体験を聞いた。
PART2
デフレに人手不足…… ニッポンの構造問題 逆転の発想で突破
インバウンド(訪日外国人)の急増は日本が抱える構造的課題をあぶり出す。都市と地方の経済格差や人手不足などの課題をいかに解決するか。インバウンドを意識した発想の転換で、事業拡大につなげる好例が出てきた。
PART3
宗教や文化の壁越える 内なる国際化を生かす 海外展開の入り口に
訪日客が急増する現状は、日本にいながら国際化を進められる好機だ。インバウンド(訪日外国人)を分析して新製品を開発し、ブランドも発信できる。訪日客に人気の製品やサービスを、海外に展開する企業も出てきた。
校了乙
6月17日号特集「インバウンドで甦れ」を担当デスクが解説
6月17日号特集「インバウンドで甦れ 15兆円消費、変革の起点に」の読みどころを、担当した大西孝弘デスクが3分間で解説する。
聞く校了乙
6月17日号特集「インバウンドで甦れ」を担当デスクが解説
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。6月17日号特集「インバウンドで甦れ 15兆円消費、変革の起点に」の読みどころを、担当した大西孝弘デスクに聞きます。
PROLOGUE
第2特集
人
編集長インタビュー
ニコン德成社長「投資家との対話が会社を変える」
メガバンクの「名CFO」が2020年、新天地に選んだのが、業績が低迷していたニコンだった。カメラを中心とする映像事業をV字回復させ、収益安定化へ新たな事業創出にも挑んできた。CFOから社長へと立場を変え、1兆円企業に向けた改革を急ぐ。
不屈の路程
ダイヤル・サービス今野社長 育児相談に電話が殺到、課金できず営業の日々
1970年代、育児に悩む親たちが子を置き去りにする「コインロッカーベイビー」が社会問題になった。そこで電話を使った育児相談窓口を開設すると大反響を呼び、事業の可能性を見いだす。だがサービスの対価を得られる仕組みがなく、スポンサー探しに奔走。オイルショックで経営危機に陥った。
連載
テックトレンド
建設現場の脱炭素化 代替燃料や再エネ電力で成果
国内の二酸化炭素(CO2)排出量の約1割を占める建設業。現場作業に伴うCO2の主な発生源が軽油と電気だ。戸田建設のトンネル工事はこの2つに狙いを定めて排出量を7割減らしている。
連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第3章 青天霹靂(8)
福州テロとワーグナー発言の波紋についての情報収集の方針を話し合っている最中に、トニーのパソコンのアラートが鳴った。また、スタッフが顔を覗かせ、「台湾の新竹沖で、大きな地震が発生したようです」と告げた。トニーが、キーボードを打ち込むと、初報が、二人がいるブースの壁にある大画面に現れた。日本の気象庁の速報を伝えるNHKのニュースサイトだった。
BOOK
『最強脳のつくり方大全』~幸福を感じて生きる重要性を知る
“知っている”と“信じている”の間には大きな乖離(かいり)がある。僕は脳や健康に関する本、記事をかなりの量、日常的に読んでいるので、この本に書かれていた多くのことを“知っていた”。
世界鳥瞰
The Economist
半導体供給網の分離は困難 米中対立、企業は両方に足場
台湾を中心とする半導体供給網は、日本や韓国、中国、米国へとグローバルに広がる。精緻に組み上げられたこの供給網を、中国側と米国側で二重化するのはほぼ不可能だ。台・韓・日は中国市場を捨てられないし、米国内での供給網再構築はコストがかかりすぎる。
The Economist
米TikTok禁止法、適用範囲拡大に警戒 表現の自由侵すと反発や訴訟
米国政府は、TikTokが中国の親会社から離れない限りアプリの運用を禁止するという法律を成立させた。TikTokや利用者は、米国民の表現の自由を侵すものだと反発し、訴訟を起こしている。この法律は禁止対象を拡大できるため、世界の独裁国家に同様の措置の口実を与えると危惧する声もある。
時事深層
専門記者の眼(人的資本)
少子化対策で「都合のいい財布」に 健康保険頼みはもう限界
少子化に歯止めをかけるため、岸田政権は3.6兆円という大規模な対策に乗り出した。その財源となりそうなのが公的医療保険だ。だが、保険料を収めている健保組合の財政は既に火の車。負担拡大のしわ寄せは企業や従業員に向かう。手取りの減少や、雇用コストの増加につながりかねない。
GLOBAL
新興2社が200ドルの車載LiDAR 中国の格安「自動運転の目」
中国新興メーカー2社が自動運転のコア部品であるLiDARで200ドルを切る低価格品で攻勢をかけている。両社は半導体チップの開発などを自ら手掛け、コストダウンを図る考え。車載LiDAR市場で淘汰が進みつつある中、電池に続きLiDARでも中国勢が主導権を握る可能性が出てきた。
MANAGEMENT
来年4月から英文開示義務化 海外投資呼び込む企業の工夫
東京証券取引所は2025年4月から、プライム市場上場企業に対して決算短信などの日英同時開示を義務づける。だが、多くの企業において英文での情報開示体制は、まだ課題が多い。そんな中で決算短信だけでなく説明会資料まで英文開示し、成果を上げている中堅建機メーカーがある。
MOBILITY
EV低価格化が促す車のソフト競争 テスラにあって日本にない構想力
自動車業界で「ソフトウエア・ディファインド・ビークル(SDV)」と呼ばれる新世代型製品に向けた開発が世界で本格化している。SDVが真価を発揮するのが、完全自動運転の実現によって可能となるサービスだ。米テスラは自動運転とライドシェアを組み合わせた構想を描く。日本の自動車大手各社もソフト開発を強化しているが、収益化につながる事業構想の見通しは不透明だ。
MARKETING
超人気校「渋幕・渋渋」の引力 晴海フラッグ、子育て世帯呼ぶ
子育て世帯のニーズに応えようと首都圏の自治体が教育環境の充実を競っている。共働きで世帯所得1500万円以上の「パワーファミリー」など子育て家庭の流入・定着を促す上で、教育環境の質が問われるためだ。今春に大型マンション群「晴海フラッグ」が街開きした東京都中央区の取り組みを紹介する。
RETAIL&CONSUMER
ユニー、特売品はパート店員が決める 客の心つかむ「ドンキ流」値下げ
「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)傘下のスーパー大手ユニーは、パートらによる投票で値下げする商品を決める制度を導入した。最大3割ほど値引きし、なかには赤字覚悟の商品も。長引く物価高を逆手にとった攻めの一手を繰り出した。
COMPANY
「もしトラ」に揺れるパナソニック車載電池 「1880億円補助金」に減額リスク
「今までの想定より早くなくなる可能性がある」。パナソニックHDの楠見雄規社長は米国での電池生産に対する補助金の先行きを懸念する。トランプ氏が11月の米大統領選で当選すれば、「インフレ抑制法(IRA)」を修正する恐れがあるためだ。
EPILOGUE
ニュースを突く
NTT法見直し第2幕、議論が乱暴に 固定電話の在り方焦点
NTT法見直し第2幕の議論が佳境を迎えている。焦点となるのが電話のユニバーサルサービスの今後についてだ。
編集長の視点/取材の現場から
「一物二価」にとどまるべからず
訪日客向けの市場で話題になるのがいわゆる「インバウンド価格」です。宿泊施設や飲食店などで高めの料金にしたり、高級コースだけを表示したり。料金をどう設定するかは事業者側の自由とはいえ、露骨な二重価格は結果として評価を落とすことにもつながりかねない。一方、オーバーツーリズム対策の一環で、入場料や観光税を導入する動きも出てきています
賢人の警鐘
村木厚子氏「引き上げた障害者の法定雇用率。一人ひとりの強みを発見し生かそう」
2024年4月、障害者の法定雇用率が引き上げられた。民間企業は23年度比で雇用率が0.2%増の2.5%へ、対象事業主の範囲は従業員43.5人から40人以上になった。範囲拡大により新たに対象事業主になった企業や、大企業は大変だ。社員が1万人の企業は障害者を新たに20人雇う必要があり、今でも精いっぱい対応しているのに、これ以上どうすればいいのかと困っているところもある。