「引き上げた障害者の法定雇用率。一人ひとりの強みを発見し生かそう」

 2024年4月、障害者の法定雇用率が引き上げられた。民間企業は23年度比で雇用率が0.2%増の2.5%へ、対象事業主の範囲は従業員43.5人から40人以上になった。範囲拡大により新たに対象事業主になった企業や、大企業は大変だ。社員が1万人の企業は障害者を新たに20人雇う必要があり、今でも精いっぱい対応しているのに、これ以上どうすればいいのかと困っているところもある。

 さらに、これまでは「雇用の場」の提供が求められたが、改正後は「雇用の質」も問われる。能力開発を通じて職域の拡大や賃上げを望めるように育成することが明記されたのだ。これにより本当の意味で一人前として扱われるようになったと感じる。

 雇用率以上にインパクトが大きいのが、25年4月に予定されている除外率の引き下げだ。運送や教育機関など、障害者の雇用が難しい業種に定めている除外率がそれぞれ10%ずつ引き下げられる。例えば除外率45%の企業に従業員が1万人いた場合、4500人が除外され、従業員5500人の企業として雇用率が計算される。これが10%下がると分母が1000人増えるため、大手企業は25年に向けて障害者雇用の準備をしている状況だ。

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