大相撲は新時代を迎えた――令和6年大相撲春場所を見て、そう感じた人は多かったのではないだろうか。新入幕の尊富士(たけるふじ:伊勢ヶ濱[いせがはま]部屋)が13勝2敗で初優勝。三賞も総なめして、記録づくしの優勝となった。さらに、最後まで優勝を争ったのは幕内2場所目の大の里(おおのさと:二所ノ関[にしょのせき]部屋)。大相撲の世代交代が一気に進もうとしている。

 相撲好き女子「スー女」のはるかぜと、この連載が始まるまで相撲を知らなかった編集K、相撲ライター前みつ五郎が、大相撲の楽しみ方について語り合うこの連載に、今回からベテラン編集Sも加わる。4人が新時代を担う力士たちへの期待と、不祥事を起こした旧宮城野部屋の閉鎖と伊勢ヶ濱部屋への合流について語り合った。

ドラマチックだった尊富士の優勝

編集K:新年度に入ってこの連載も新体制で臨むことになりました。今回から大相撲に詳しいベテラン編集のSさんに加わってもらいます。Sさんは、両国国技館の本場所は毎回観戦されているそうですね。

編集S:国技館には3人マス席を購入して、妻と2人で観戦しています。マス席で観ていると盛り上がって、ついつい飲み過ぎますね(笑)。

「スー女」はるかぜ(以下、はるかぜ):うらやましい! Sさんの推しは誰ですか?

編集S:私は平戸海(ひらどうみ:境川[さかいがわ]部屋)が好きです。ちゃんとぶつかっていって、相撲が速い。相撲の取り方に品がありますよね。

前みつ五郎(以下、五郎):平戸海は力をつけてきましたよね。夏場所では自己最高位の東前頭2枚目まで番付を上げていて、今日のテーマでもある新時代を担う力士の1人です。

はるかぜ:ちなみに、奥様の推しは誰ですか?

編集S:ずっと前から遠藤(えんどう:追手風[おいてかぜ]部屋)です。妻が遠藤を見たくて国技館に行くようになった感じですね(笑)。夏場所では十両に陥落しましたけど、幕内に上がった頃はものすごい人気でした。

五郎:遠藤はスピード出世の記録を持っています。幕下10枚目格付け出しでデビューして、十両を1場所で通過しました。新入幕まで所要3場所で、昭和以降では最速1位タイです。昨年の夏場所で新入幕ながら優勝争いをした伯桜鵬(はくおうほう:伊勢ヶ濱[いせがはま]部屋)が、同じく所要3場所でした。前回スピード出世が話題になった大の里は、所要4場所で新入幕を果たしています。

はるかぜ:スピード記録という意味では、私が推している1人の尊富士が、春場所で大変なことを成し遂げました! 新入幕で初優勝ですよ! しかも、14日目にけがをしたのに、千秋楽で勝って優勝を決めました。

編集K:最後までどうなるのか分からない展開で、本当にドラマチックでしたね。尊富士の優勝がどれだけすごいことなのか、改めて振り返ってみましょうか。

相撲ライター 前みつ五郎
相撲関連の記事などを執筆。保育園児の頃からテレビで相撲を観戦。好きな技は出し投げ。プロ野球は7歳からホークスファン。(イラスト:福家聡子)
スー女 はるかぜ
追っかけ遍歴は10代→ビジュアル系、20代→インディーズバンド、30代→K-POP、40代→大相撲(今ココ)。座右の銘は「推しは推せるときに推せ」。推し力士は阿炎関と豊昇龍関。(イラスト:福家聡子)
編集K
プロレスや総合格闘技は見るが、相撲の知識はほぼゼロ。本連載を機に大相撲観戦を趣味の1つにできればと考えている。
編集S
本場所は、妻と2人でマス席観戦する相撲好き。最近の推しは平戸海。また、幕下時代から注目していた琴桜が今後さらにどう進化するかを楽しみしている。
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