今回は「若手を厚遇する会社に納得がいかない」と悩む59歳男性からの相談です。上田さんは「過去を振り返って比較するのではなく、自分の未来を考えて行動しよう」とアドバイスを送ります。

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悩み:昔は薄給に耐えたのに、年を取ったら若手厚遇…納得がいきません

 上田さん、初めまして。私は現在59歳サラリーマンで、若く感じていた自分がいつの間にかこの年齢になっていました。今後の生き方や選択肢について相談したいと思っています。

 最近、政府主導の企業改革や賃金上昇、人的資本への投資などの対策が進んでいますが、それにもかかわらず何かが足りないと感じます。若いころは薄給でしたが、「おまえもいつかは給料がぐんと上がる」と言われて、サービス残業や休日出勤も我慢してこなしてきました。そこそこの昇給はしましたが、50代以降の私はかつての先輩たちの境遇と比べるとはるかにレベルが低いです。

 会社としては若い社員を厚遇し、新卒社員の初任給は毎年のようにどんどん上がります。まだ社会人になりたてで何もできない人に好条件を出す。一方、長く勤めてきた私に対して、心ない役員が「おまえは給料が高い」と言ってきました。定年後の再雇用制度はありますが、もちろん給料は下がります。副業も認めてもらえません。数十年間に及び会社に尽くしてきた時間は何だったのかとむなしくなります。世代によって割りを食う人たちが出てくるのは仕方がないかもしれませんが、どうも納得できません。どのように考えて生きていけばよいのでしょうか。

(59歳、男性、会社員)

白壁達久(日経ビジネス編集):世代論は難しいですね。人口バランスも違いますし、その時の社会情勢や環境も異なる。損だの得だのといった話がどうしても出てしまいますね。

上田準二:嘆いてもしょうがない話だね。僕ら世代から見たら、確かに今の大卒の初任給はビックリする。物価が違うとはいえ、初任給は7万円とかでしたから。その世代からすれば、あんな高い給料を取りやがってとなるかもしれない。一方、今の若い人たちからすると「そんな会社に行くか」となるよね(笑)。まぁこれは余談ですよ。嘆いてもしょうがない。

白壁:団塊の世代に、バブル世代に氷河期世代……世代間で「逃げ切った」と皮肉るようなこともあります。

上田:隣の芝生は青く見えるかもしれませんが、どの世代もそれなりに苦労はしているんですよ。ただ、これじゃあ前向きな回答にはならないので、1つアドバイスをしましょう。

白壁:お願いします。

上田:相談者さんは今、59歳。サラリーマン人生をマラソンで例えるなら、折り返し地点を過ぎて、もうゴール地点の陸上競技場が見えてきたというところを走っているんです。

 42.195kmは長いですよね。走り続けるのは本当にしんどい。今、相談者さんが走ってきたのはどういう道だったのかを振り返りましょう。

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