2024年5月13日号
誌面ビューアーで読むINDEX
PROLOGUE
レーザーテックCFOの5年間 株価26倍、舞台裏で奔走
5年間で株価が26.5倍になったレーザーテックでは、財務責任者が奔走していた。急増する株主、声を上げる投資家に対応し、面談や情報開示をこなした。
PART1
アクティビストを味方につけろ PBRからESGまで 「市場との対話」手厚く
CFOの活躍の場が、事業改革やサステナビリティー対応などへと拡大。資本市場の変容を背景に、企業価値を戦略的に伸ばす能力が必須となった。だが、そんな現代版CFOの役割を担える人材が不足し、企業を悩ませている。
誌上座談会
敏腕CFOが語る要諦と悩み 「支援組織」から脱却 攻めの戦略を担う
責任範囲が広がるCFOは何を課題と感じ、何を考えて業務に当たっているのか。経歴も専門も様々な3人の敏腕CFOに、率直に語ってもらった。(個別インタビューを座談会形式に再構成した)
PART2
人材育成と戦略浸透の一石二鳥 「CFO機能」強化に 3つの処方箋
外部からの招聘(しょうへい)がままならず、育成するには時間が足りない。経営を担うCFOの機能を充実させるにはどんな方法が有効なのか。先進事例として、3通りのケーススタディーを紹介する。
PART3
もう「数字屋の上がりポジション」ではない CFOからトップ就任 当たり前の時代に
CFOから社長やCEOに転じるケースが増えている。複雑なCFOの業務をこなす人材はもはや「数字屋の最高峰」ではない。経営陣の重要な一角を占め、経営トップの有力候補になるのは自然な流れだ。
校了乙
5月13日号特集「闘うCFO」を担当記者が解説
5月13日号特集「闘うCFO 金庫番から改革の最前線へ」の読みどころを、担当した神田啓晴記者が3分間で解説する。
聞く校了乙
5月13日号特集「闘うCFO」を神田記者に聞く
日経ビジネス最新号の特集の読みどころを耳で聞く校了乙。5月13日号特集「闘うCFO 金庫番から改革の最前線へ」の読みどころを、担当した神田啓晴記者に聞きます。
PROLOGUE
第2特集
人
編集長インタビュー
すかいらーく谷会長「賃上げは25年が山」 データ駆使し、原資を稼ぐ
新型コロナウイルス禍後の外食業界は、消費者ニーズの急速な変化に直面している。ファンド傘下時代に培ったデータ分析力を武器に、大胆な価格戦略や業務のDX化を推進。人への投資を起点に顧客満足を高め、継続的な賃上げに挑む。
経営教室
マネックスグループ・松本大会長 ダイバーシティーは共存ではなく競争戦略
創業初期から「自分がいなくても成長できる会社」の仕組みを模索してきた松本氏。その答えは、異(い)なる者を受け入れ、変わる力へと変えるダイバーシティーにあった。2回目は、企業を育てる組織の多様性のあり方やシステム戦略構築について考える。
敗軍の将、兵を語る
「繊維の町」桐生のマフラー、6代目で廃業へ 老練の技、承継の壁に
海外でもデザイン力や技術力が高く評価されていたが、このほど後継者の募集を断念し廃業する方針を決めた。特色ある技術を残そうと事業承継も模索したが、操業の難しさなどが壁となり条件の合う後継者は見つからなかった。6代目の松井敏夫社長は、「販売してきた製品を通じて、デザインの感性は後世に残したい」と語る。
連載
グローバルインテリジェンス
「悪い顧客」を捨てる経営術 3つの要件で厄介者をあぶり出す
あらゆる事業の目的は顧客を創造・維持すること──。経営学の父ピーター・ドラッカーはこう指摘したが、例外はある。ビジネスに悪い影響を与える顧客は確かに存在する。そのような顧客は思い切って切り捨てることが望ましい。
連載小説「チップス」
真山仁「チップス/ハゲタカ6」 第3章 青天霹靂(3)
長年、別宅として保有している熱海の温泉宿「枯淡楼」の自室で、鷲津はその朝、ワーグナー発言の情報交換を兼ねたオンライン・ミーティングを開いた。ワシントンDCにいる調査員のマンディ・ジョーダン、熱海の鷲津とリン、大手町のアンソニー、さらに偶然にもハワイにいたサムがオンラインで繋がっていた。
BOOK
『文化資本の経営』~時代を超える名著の復刊
企業経営の文脈では、文化は主としてその企業に固有の風土や価値観として扱われてきた。企業文化は確かに競争力や組織の活力の源泉となり得る。しかし、本書のメッセージは「経営資源として企業文化を大切にしましょう」という話ではない。はるかにスケールが大きい。
世界鳥瞰
The Economist
中国バイオ企業と協業する米製薬会社を締め出す法案 創薬に弊害も
米議会に、中国のバイオ企業と取引する米企業からの政府調達を禁止する法案が提出された。成立すれば、新薬開発やコスト面における米製薬企業への影響は大きい。しわ寄せは患者に及びかねない。中国企業は、懸念される医療データ収集や中国政府支配はないと反論するが、米議員の反中感情は根強い。
The Economist
供給逼迫する中で需要拡大 緊迫する中東情勢と原油高の行方を読む
原油価格が2023年12月から25%上昇した。今後も、供給逼迫と需要拡大が同時に進むと見込まれる。ただし、最も可能性の高いシナリオは、1バレル85~90ドルでの推移。中東産油国は、価格高騰が需要を破壊するのを望まない。イランもホルムズ海峡封鎖の愚は犯さないだろう。
時事深層
GLOBAL
ロンドン中心部にライブスタジオ導入の狙い イケア、Z世代をつかむ秘策
スウェーデンの家具大手イケアが、英ロンドン中心部に進出する。水面下で準備しているのが、「ライブスタジオ」と呼ぶプロジェクトだ。店内でZ世代のクリエーターたちとコラボし、店の外のスクリーンにライブ配信する。どんな狙いがあるのか。
WORK&CAREERS
イトーキや東京ガス、独身向け福利厚生制度 専用アプリで社員の恋愛を支援
社員の恋愛・出会いの場を企業が支援する福利厚生の導入が進んでいる。「Aill goen(エールゴエン)」は信頼できると判断された企業の社員だけが利用できるマッチングアプリ。導入企業数は1100社以上。人材確保のため、独身者支援として出会いの機会創出が注目されている。
ENVIRONMENT
米アップルも使用制限へ DICが見いだすPFAS規制の商機
環境への影響が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)について、欧州で規制に向けた動きが強まっている。PFASをめぐっては、米3Mが2025年までに生産を全廃、アップルも使用を制限すると発表している。一部では代替開発が進むが、使用は産業界全域に広がるため、置き換えは非現実的との声が根強い。
INDUSTRY
打ち上げ費用は「H2A」の半額 新型「H3」でも遠い世界の背中
2月の打ち上げ成功が記憶に新しい日本の新型基幹ロケット「H3」。足元では次の機体の準備も着々と進む。だが前回の打ち上げ失敗からの1年足らずで世界の競争環境は大きく変わった。日本の宇宙産業をけん引する存在として、H3の進化で求められるのはさらなるコスト低減だ。
GOVERNANCE
金融庁が全銀行の融資を点検へ 三菱UFJ、老舗の粉飾20年見逃す
融資に対する銀行の審査規律が緩んでいる疑念を抱いた金融庁が、実態の点検作業に乗り出した。厳格なチェック体制を築いてきたはずのメガバンクですら、不正な融資申請を見落とすケースが散見され始めたからだ。問題を見抜けないなら、金融業界に対する監督の流れが緩和から強化へ逆回転する可能性もある。
MARKETING
タピオカブーム去ったゴンチャ・春水堂 「お茶カフェ」でコーヒーに挑む
コーヒーを販売しない、お茶専門カフェが店舗を増やしている。かつてタピオカブームをけん引した台湾カフェチェーンの「春水堂」や「ゴンチャ」がその代表例だ。競争激化にコーヒー豆高騰が重なって出店が鈍化傾向のコーヒーチェーンを尻目に、お茶を前面に打ち出して勢力拡大を目指す。
COMPANY
トヨタ出身の井上新社長、新興国を深掘りへ ダイハツ、鍵握るトヨタとの違い
認証試験不正問題を受け、トヨタが開発や新車の認証取得に責任を持つ体制に変更し“トヨタ化”して再起を図るダイハツ。日経ビジネスなどのインタビューに応じた井上雅宏新社長は「ダイハツのものづくりはトヨタとは違う」と小型車開発に独自の強みがあると強調。将来的に東南アジア以外の南米やアフリカで小型車を製造する意向も表明した。
EPILOGUE
ニュースを突く
2050年に1000万人予測も 日本を脅かす「認知症リスク」
認知症の患者数が2025年に約700万人に達する。介護による働き手の減少など経済への影響は極めて大きい。対策は急務だ。
編集長の視点/取材の現場から
CFOのFは「未来」
なぜ最高財務責任者(CFO)出身のトップが増えているのか。自らもCFOだったNECの森田隆之社長の答えは「数字はビジネスの共通言語。トップはそれをネーティブとして話せなくてはいけない」というものでした。知的財産や人的資本などの非財務情報も交えて、企業価値を高めていくストーリーの語り手になる。多様な投資家に向き合い、鍛えられた人材がトップに就くのも自然な流れです。
日経ビジネス 私の読み方
ダイキン工業宮住光太執行役員「人事制度改革、失敗が参考に」
採用や人事は経営戦略の根幹だ。ダイキン工業では部長や役員に、5割の時間を人材育成など人事関連に割くように言っている。新卒一括採用と中途採用の数が逆転する中で日本型、昭和型の人事制度は過渡期にある。優秀な人材はベストな場所を求めて世界を転々とし、人材は奪い合いになっている。人事制度を変えなければ、優秀な人材は他に流れてしまう。
賢人の警鐘
中神康議氏「PBR1倍割れの実相。国内産業・市場構造の改革が必要」
東京証券取引所から出た「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」、いわゆるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ対処要請は大きな反響をもたらした。1年たち、事態は相当改善したと思っている方も多いのではないか。