日本ロレアル、ユニリーバ・ジャパン・サービス、グラクソ・スミスクライン・ジャパン(GSK)、グーグル合同会社で要職に就いた後、2023年からリンクトイン・ジャパン(以下、リンクトイン)の代表を務める田中若菜さん。初めてのマネージャー経験では子育て中の社員を尊重できず「部下への理解が足りないマネージャーだった」と振り返ります。下編では、これまで直面した中で最も大きな壁、昇進する前と後で必ずやっていること、スタッフから厳しいフィードバックがあったときにどう生かすかについて語ってもらいました。

(上)育児して気づいた「自分は間違っていた…」リンクトイン日本代表
(下)「90日プラン」重視のリンクトイン日本代表、必ず1on1する訳 ←今回はココ

未経験の業種&職種のマネジメントに悩んだ

編集部(以下、略) 上編で「常に課題に直面している」と話していましたが、これまでのキャリアでぶつかった一番大きな壁は何ですか?

田中若菜さん(以下、田中) 外資系製薬大手のGSKで変革推進室長を務めたときですね。社内に何らかの変革をもたらすのがミッションだったのですが、未経験の業種かつ職種での転職だったこともあり、大きな壁でした。

―― どのように乗り越えたのでしょうか。

田中 まずは、自分が期待される役割を果たすためにはどんなスキルが必要かを洗い出し、どのスキルが足りていないかをリストアップしました。私に必要だったのは、業務プロセスの効率化を図るスキル。そこで、すぐに米国の通信機器メーカー・モトローラが開発した経営・品質管理手法「シックスシグマ」に基づいた社内資格を取得しました。

 とはいえ、それだけではプロジェクトを進めることはできません。目標を達成するにはチームの力が不可欠です。最初はチームをどう動かしていけばいいかの答えが見つかりませんでした。私は悩んだとき、いつも1人で抱えずにチームに共有してディスカッションするようにしています。解決の糸口が早く見つかりやすくなるからです。このときも、チームのメンバーに悩みを相談しました。

「子育てが手いっぱいだったときも、チームのメンバーにはたくさん助けられました。プライベートで両親以外にお世話になっているのは親友です。親友の家の近くに引っ越し、お互いの家の鍵も渡して助け合っています」
「子育てが手いっぱいだったときも、チームのメンバーにはたくさん助けられました。プライベートで両親以外にお世話になっているのは親友です。親友の家の近くに引っ越し、お互いの家の鍵も渡して助け合っています」