中学受験を見据えて勉強に取り組んでいるわが子を見ながら、成績がなかなか上がらず悩む親は多いもの。身体的な暴力まではいかなくとも、つい「厳しく叱ってしまう」「容赦ない言葉を投げかけてしまう」といった経験はないでしょうか。そもそも「教育虐待」とはどのようなことなのでしょうか。知らず知らずのうちにわが子を苦しめてしまわないように、何に気をつけ、どうすればよいのか。サイタコーディネーションの江藤真規さんに話を聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) これって教育虐待? 子にとどめを刺さないために大切なことは ←今回はココ
(2) 中学受験で下がる自己肯定感、高まるプライド 共にリスクに
(3) 中高生以降のお金のトラブルは、高学年までのマネー教育で防ぐ

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中学受験期は誰もが教育虐待に陥る可能性がある

 「教育虐待」という言葉を聞いて、「もしかしたら自分も……?」と、ドキッとする人もいるのではないでしょうか。「ニュースに出るような身体的な虐待とは異なり、中学受験期の教育虐待は、表向きには分かりづらいことがほとんどです」と江藤さんは指摘します。

 「それは、親が『よかれ』と思って厳しく接しているケースが多いからです。成績を上げようと『なんでできないの』『なんでやらなかったの』と責めたり、『勉強の仕方が甘い』『やっていないから成績が伸びない』『あなたにはこの学校がいいに決まっている』といった『決めつけ』で叱ったりするという声をよく聞きます。

 同じ言葉かけでやる気を出す子もいますが、むしろ逆効果で子どもが苦しみ、勉強嫌いになってしまう子が多いです。『あなたのためを思って』『将来に役立つから』と親の一方的な思い込みからしてしまう教育虐待と、子どもへの意識喚起は、紙一重。中学受験期には、誰もが教育虐待に陥ってしまう可能性に注意が必要です」

 親の一生懸命さがあだとなってしまっては、親子ともども不幸なこと。いったい、こうした教育虐待はなぜ起こり、どうしたら回避できるのでしょうか。詳しく聞いていきます。

この記事で分かること
・中学受験で教育虐待に向かいがちな背景と特徴
・勉強を無理強いする親が放ちがちな、子を傷つける一言
・必要以上に不安を生まないSNSからの受験情報の収集法
・教育虐待と気づかない親の共通点
・親が子に不安をぶつけないためにできること
・成績や偏差値を気にする前にすべきことがある