未来を創るCloud ERP ~経営視点のデジタル変革を熱く語る~

企業の基幹システムに変革の波が押し寄せている。それをどう捉え、戦略的なIT投資を実現するべきか。日本を代表する企業のデジタルリーダーたちが、IT投資、クラウド活用、グローバル化、そして組織と人材のあり方などを語った。

サプライチェーン可視化のためグローバル基準のデータ基盤へ刷新

黒澤氏
UCCジャパン株式会社
執行役員
ICT・デジタル担当
日本OATUG会長
黒澤 俊夫
外資系企業を中心に25年以上のキャリアを持つエンタープライズICT、デジタルのプロフェッショナル。2019年UCCホールディングスに入社。2021年からグループのICT子会社であるユーコット・インフォテクノの社長を兼務。

グローバル製造業にとって、サプライチェーンの効率化は日々重要度を増している。UCCグループも課題を抱えていた。UCCジャパン執行役員の黒澤俊夫氏は、次のように語る。

「UCCはコーヒー製造業としての一面を持っています。そこではコーヒー豆の栽培から輸入、スーパーなどの店頭に並ぶまでの一連のジャーニーがあるわけですが、各所に導入されているシステムは、入れた年代やベンダーもまちまちでした。そのため、サプライチェーンの流れが悪く、全体を見通すことが難しい状況でした」

同時に本社の基幹システムも、すでに四半世紀にわたって使用されており、更新を検討した。

「古すぎると思われるかもしれませんが、意外とそういう企業は多いと思います。しかし、これから海外のビジネスを伸ばそうとする中、基幹システムの刷新は避けて通れません。当社のCEOも、『このままではいけない』という意識を持っており、IT戦略と経営者のベクトルがそろっていました」

そこで同社は、Oracle Fusion Cloud Applicationsのグローバル展開によって、サプライチェーンの可視化、SaaSによる標準プロセスの導入による運用の効率化などを実現。UCCグループの基幹システム改革は成功した。

黒澤氏は、「私は100点を目指すタイプではありません。最後の90点を100点に上げるために、そこまでと同じぐらいのエネルギーが必要だと考えています。むしろ70点でもいいから、とにかく早く前に進めることを重視しています。そのため、まず動くものを見せていくことが、変革に腰が重い部門を取り込んでいくときに有効だと考えています」と語る。