コンテンツにスキップ

警察庁次長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

警察庁次長(けいさつちょうじちょう)は、警察庁次長たる警察官である。

地位

[編集]

警察庁長官を補佐するとして置かれている[注釈 1]階級警視監。俸給は指定職6号俸で、これは一部の外局長官などと同等である。

階級と給与面でみると、警視監の階級にある警察官をもって充てる指定職6号俸の職であることから、指定職7号俸の警視総監より下位であるが、警視総監の権限は警視庁(東京都)のみに限定されているのに対して、警察庁次長の権限は警視総監を含めた全国の警察に及ぶ。何らかの理由で長官が不在であれば、次長が長官の代理として命令を出すこともあり、その命令を東京都の警察責任者である警視総監が受ける場合もある。このため、警察庁次長は警視総監に対して「階級は下だが、権限は上」と見なすこともでき、警視監の階級においては警察組織全体において序列1位である。

上記のような事情もあって、人事の実務上、警察庁次長は次の警察庁長官となるべき者のポストとして運用される[1]と共に、現職の警視総監よりも入庁年度が1年ないし数年早い者を充てることが通例とされている。これにより、警察庁次長が警察庁長官に昇格した際に、警視総監との地位の上下関係が正常に戻る。

現職者

[編集]

歴代警察庁次長

[編集]
氏名 在任期間 前職 後職
谷口寛 1954年7月1日 - 1954年8月24日 国家地方警察本部次長 内閣官房副長官
石井栄三 1954年8月27日 - 1955年7月1日 警察庁警務局長 警察庁長官
柏村信雄 1955年7月1日 - 1958年8月29日 警察庁警務部長 警察庁長官
荻野隆司 1958年8月29日 - 1962年5月8日 警察庁警務局長 辞職
江口俊男 1962年5月8日 - 1963年5月10日 警察庁警務局長 警察庁長官
新井裕 1963年5月10日 - 1965年5月19日 警察庁警務局長 警察庁長官
後藤田正晴 1965年5月19日 - 1969年8月12日 警察庁警務局長 警察庁長官
高橋幹夫 1969年8月12日 - 1972年6月24日 警察庁警務局長 警察庁長官
浅沼清太郎 1972年6月24日 - 1974年10月9日 警察庁警務局長 警察庁長官
土田國保 1974年10月9日 - 1975年2月1日 警察庁警務局長 警視総監
山本鎮彦 1975年2月1日 - 1978年6月1日 警察庁警備局 警察庁長官
三井脩 1978年6月1日 - 1981年6月2日 警察庁警備局長 警察庁長官
下稲葉耕吉 1981年6月2日 - 1982年5月20日 警察庁警務局長 警視総監
鈴木貞敏 1982年5月20日 - 1984年9月25日 警察庁警務局長 警察庁長官
山田英雄 1984年9月26日 - 1985年8月27日 警察庁警備局長 警察庁長官
鎌倉節 1985年8月27日 - 1985年10月9日 警察庁警務局長 警視総監
金澤昭雄 1985年10月9日 - 1988年1月22日 警察庁刑事局 警察庁長官
鈴木良一 1988年1月22日 - 1990年12月7日 大阪府警察本部長 警察庁長官
仁平圀雄 1990年12月7日 - 1990年12月18日 警察庁警務局長 警視総監
(鈴木良一) 1990年12月18日 - 1991年1月11日 (警察庁長官が事務取扱)
城内康光 1991年1月11日 - 1992年9月18日 警察庁警務局長 警察庁長官
吉野準 1992年9月18日 - 1993年9月10日 警察庁警備局長 警視総監
國松孝次 1993年9月10日 - 1994年7月12日 警察庁刑事局長 警察庁長官
井上幸彦 1994年7月12日 - 1994年9月9日 警察庁長官官房 警視総監
関口祐弘 1994年9月9日 - 1997年3月31日 警察庁長官官房長 警察庁長官
田中節夫 1997年3月31日 - 2000年1月11日 警察庁交通局 警察庁長官
佐藤英彦 2000年1月11日 - 2002年8月2日 大阪府警察本部長 警察庁長官
漆間巌 2002年8月2日 - 2004年8月13日 警察庁警備局長 警察庁長官
吉村博人 2004年8月13日 - 2007年8月16日 警察庁長官官房長 警察庁長官
安藤隆春 2007年8月16日 - 2009年6月26日 警察庁長官官房長 警察庁長官
片桐裕 2009年6月26日 - 2011年10月17日 警察庁長官官房長 警察庁長官
米田壮 2011年10月17日 - 2013年1月25日 警察庁長官官房長 警察庁長官
金髙雅仁 2013年1月25日 - 2015年1月23日 警察庁長官官房長 警察庁長官
坂口正芳 2015年1月23日 - 2016年8月10日 警察庁長官官房長 警察庁長官
栗生俊一 2016年8月10日 - 2018年1月18日 警察庁長官官房長 警察庁長官
三浦正充 2018年1月18日 - 2018年9月14日 警察庁長官官房長 警視総監
松本光弘 2018年9月14日 - 2020年1月17日 警察庁長官官房長 警察庁長官
中村格 2020年1月17日 - 2021年9月22日 警察庁長官官房長 警察庁長官
露木康浩 2021年9月22日 - 2022年8月30日 警察庁長官官房長 警察庁長官
緒方禎己 2022年8月30日 - 2024年1月26日 警察庁生活安全局 警視総監
楠芳伸 2024年1月26日 -  警察庁長官官房長

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 警察法第16条第2項により警察庁次長の任命権者は警察庁長官である。

出典

[編集]
  1. ^ ただし、警察庁次長から警視総監に就任した者もおり、その例として、70代土田國保、73代下稲葉耕吉、75代鎌倉節、77代仁平圀雄、80代井上幸彦、95代三浦正充、99代緒方禎己が挙げられる。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]