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: 飯の上に蒸して細く裂いた鶏肉を乗せ、甘辛いタレをかけたもの。魯肉飯同様最も庶民的な料理の一つ([[嘉義市]]の「[[火鶏肉飯]]」のように、鶏の代わりに[[七面鳥]]を使ったバリエーションもある)。 |
: 飯の上に蒸して細く裂いた鶏肉を乗せ、甘辛いタレをかけたもの。魯肉飯同様最も庶民的な料理の一つ([[嘉義市]]の「[[火鶏肉飯]]」のように、鶏の代わりに[[七面鳥]]を使ったバリエーションもある)。 |
2024年1月14日 (日) 01:37時点における版
台湾料理 | |||||||||||||||||||||||
蒸籠の中の小籠包 | |||||||||||||||||||||||
スープが溢れ出ている小籠包 | |||||||||||||||||||||||
繁体字 | 臺灣料理 | ||||||||||||||||||||||
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簡体字 | 台湾料理 | ||||||||||||||||||||||
漢語拼音 | Táiwān liàolǐ | ||||||||||||||||||||||
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台湾菜 | |||||||||||||||||||||||
繁体字 | 臺灣菜 | ||||||||||||||||||||||
簡体字 | 台湾菜 | ||||||||||||||||||||||
漢語拼音 | Táiwāncài | ||||||||||||||||||||||
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台菜 | |||||||||||||||||||||||
繁体字 | 臺菜 | ||||||||||||||||||||||
簡体字 | 台菜 | ||||||||||||||||||||||
漢語拼音 | Táicài | ||||||||||||||||||||||
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中華料理 |
母料理 |
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台湾料理(たいわんりょうり、繁体字中国語: 臺灣料理、台灣料理)とは、原住民料理のルーツを持ち、中華料理をベースに日本・西洋および台湾独自のアレンジを加えることで成立した料理である。
もともとオーストロネシア系の台湾原住民が住んでいた台湾島に、中国大陸、とりわけ現在の福建省から漢民族が流入し、彼らが持ち込んだ福建料理が現在の台湾料理のベースになってきた。16世紀頃からかなりまとまった期間で、明王朝・清王朝からの漢民族、オランダ・スペインからの西洋人、近代には日本列島からの日本人などの民族が統治者や開拓民として入植していたため、島国の台湾は多彩な料理法を取り込めた。結果として、台湾料理は400年あまりの歴史の中で独特な食文化として進化を遂げた。
定義
台湾では、「台湾料理」という言葉は二つの意味に分けている:
- 広義の台湾料理:つまり「台灣菜」のこと。台湾で食べられる全ての郷土料理、および外国の料理を台湾現地でアレンジした物の総称。
- 狭義の台湾料理:つまり「台菜」のこと。台菜というのは「台湾に住む閩南人の料理」のみのことを指す。閩南人は中国の福建省からの開拓民で、いま台湾の人口の7割を占める民族でもある。台湾にはほかの中国大陸由来の民族は客家人や外省人であって、日本人や原住民の末裔も居て、かれらの料理はこっちの「台菜」の範疇に入らない。
歴史
台湾という国が移民社会である特徴により、台湾料理のルーツは原住民料理でありながら、現在の台湾料理に原住民の影響が見られることは多くない。それは他の移民国家(アメリカ・カナダ・オーストラリア)と同じく、他民族の移民や開拓民の割合も高いためである。移民の中で、特に人口の多い中国人は中華料理を台湾全土に持ち込み、福建料理や客家料理などの中華料理は台湾料理のベースとなった。一方、人口の少ない台湾原住民たちの料理は逆に全国性を失い、台湾の郷土料理の一つになってしまった。
台湾料理の中華料理は中国の各地の特徴を持ち、多彩な中華が食べられる。まず厦門・泉州・漳州からの福建料理が原住民の料理と融合して作られたものは台湾料理の起源である。この三つの地域からの開拓民の中で、閩南人が大半の人口を占め、台湾島の主流的な人口となった。また、同時期の台湾には広東省の客家人や湖西など他地域出身の漢民族もおり、これらの開拓民の影響で、様々な中華料理が台湾社会へ浸透していった。さらに第2次世界大戦後、中国国民党と共に中国大陸の様々な地域出身の兵士や料理人が台湾に渡り、台湾には大陸各地の高級中華(北京料理・上海料理・四川料理・広東料理など)が集った。70年以上の時を経て、台湾は香港と並び、中国本土よりも洗練された中華料理を楽しむことができる。
更に、台湾料理には日本料理の要素もある。50年間の日本支配時代を経て、日本料理も台湾民間に広く普及した。台湾料理は1895年からる1945年にかけて、特に明治・大正期の日本料理の影響を強く受けつづけて、現代の日本料理との関係性はこの二つの時代と比べると少ないという。現在の台湾ではおでん(中国語:黑輪/和田/關東煮;台湾語:o͘-lián)や天ぷら(中国語:天婦羅、甜不辣;台湾語:thian-puh-la)、刺身(中国語:沙西米、生魚片;台湾語:sā-si-mih)、寿司 (中国語:壽司;台湾語:su-sih)[1]、味噌汁[2](中国語:味噌湯;台湾語:mi-so͘h-thng)、カレーライス[3](中国語:咖哩飯;台湾語:ka-lí-pn̄g)、日本酒[4]などのメニューが残っている。台湾の寿司は「壽司」と表記され、握り寿司のほかに稲荷寿司(豆皮壽司)や太巻きが一般的で、酢飯の酢の味付けは薄めになっている[1]。また、現代の台湾の家庭内でも、中華料理の主菜に稲荷寿司や味噌汁などの日本料理のおかず・スープとセットし、和華問わずに食べることが一般化している[1]。
中国や日本の料理人は台湾で採れる豊かな食材をそれぞれの料理法で調理し、台湾人はこれらを全部吸収し、独自な料理を創造した。
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日本由来の「かき氷」。日本のように氷蜜は使わず、台湾では本物のフルーツと果汁を乗せて盛る。
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台湾独自の肉かけご飯「滷肉飯(魯肉飯)」。豚肉の皮や脂肪の部分を、台湾の甘醤油で煮込み、完成した肉だれを白飯にかける。
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台湾独自のチキンフライ「香雞排(大鶏排)」。人の顔よりも大きい鶏肉の量が最大の特徴。
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台湾独自の飲み物「タピオカミルクティー」。甘い飲み物の代表格とされ、現在では全世界に進出している。
特徴
食材
台湾は四方を海で囲まれ、また国内の中央部に3千メートル級の山々が南北に縦走し、日本よりも山がちの地勢である。それ故に、比較的小さな地域である台湾は土地の広さに拘わらず、国内には多様な地形や豊かな自然条件が揃っていて、多くの海の幸・山の幸に恵まれた。そのため、常用食材も極めて豊富である。以下の分類で簡単に紹介する:
- 果物類:食材の中では、特に安価で種類も多い果物系の食べ物や料理が目立つ。フルーツ王国とも称される台湾は、マンゴー・パイナップル・芭楽・蓮霧・釋迦頭・イチゴ・メロン・スイカ・バナナ・キウイフルーツなどがある。
- 野菜類:水蓮を始め、空芯菜・筍・薩摩芋・白菜・チンゲンサイ・芹菜・茄子・にんじん・エノキタケ・カラシナ・キャベツ・レタスなど旬の野菜を使った料理が多い。
- 香辛料や漢方類:主に九層塔と香菜、時々に八角・茴香・エシャロット・オオタニワタリや、日本人も馴染みなニンニク・ネギ・ニラ・生姜などの香辛料が料理に加わる。使い方としては油で揚げ、香りが立つ頃合いに他の食材と炒め、また出汁や煮込みにも入れ、食材の旨味を引き出す。
- 魚類:カレイ目全体・アンコウ目全体・虱目魚・カラスミ・鱈魚の肉と肝臓・ウナギが食べられる。特に桜花鉤吻鮭は台湾の代表的な魚と知られている。
- 海老類:ウシエビ・コウライエビ・火焼蝦・クルマエビ・桜海老・牡丹海老などがある。台湾の海は日本・中国・東南アジア三方から挟まれている。周辺国でよく食べる海老は基本的に台湾でも捕獲されている。
- カニ類:カニは旨味の強く、生臭みの弱いものが好まれる。台湾近海で捕獲されたアサヒガニ・花蠘仔・藍花蟹・三点蟹・処女蟳・モクズガニが主流的な食材である。
- 貝類:蚵仔煎(カキ入りオムレツ)の主な素材として使われるカキ以外では、ハマグリ・象牙鳳螺・九孔螺・赤嘴蛤などがある。
- 麺類・塩味の餅類:台湾国内では多種類の麺料理が味わえ、南投の意麺・台南の担仔麺・高雄のうどん・新竹の米粉・台北の炸醤麺・中国の四川省由来の辛い担担麺など、地域によってそれぞれの麺料理がある。餅について、客家人の餅菓子、朝食四兄弟の卵餅・葱油餅・大根餅・胡椒餅、台湾土産菓子として有名な太陽餅・老婆餅など、多彩なバラエティーがある。
- スイーツ類:台湾原住民のレシピによる穀粒ケーキ、果物を飾ったかき氷・ゼリー飲料・タピオカミルクティー・鳳梨酥など、夏も冬にも適用したデザートが豊富している。
- 改造和食・中華:小籠包など中国発祥の料理も台湾人より何十年の改造を経て、いずれも中国と日本の本場の味から離れている。日本料理も同様であり、台湾の庶民にとってはこの和華折衷的な料理が主流になっている。
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珍珠芭樂という台湾のグアバ。その果汁は台湾の代表的な飲料の一つ。
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愛問芒果という台湾のマンゴー。原産地はアメリカだが、台湾ではマンゴー味のかき氷として人気を博す。
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大甲芋頭という台湾のムラサキイモ。この写真は紫と黄色のサツマイモで作ったデザート。
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八角という台湾でよく使う香辛料。
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桜花鉤吻鮭というタイワンマス。本来は台湾の魚の中で最も美味しいされている食材だが、いまは保育動物になり、食用禁止。
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虱目魚(サバヒー)。スープ・餃子の具・鍋料理・魚団子にされる旨味の濃い食用魚。
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タラ。肉の厚さから焼き魚・天麩羅・ハンバーガーやサンドイッチの具などに使う大型深海魚。
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花蠘仔というピンクのカニ。蒸し・醤油漬けに相性抜群である。
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象牙鳳螺という海貝。酒漬け・唐辛子炒めなどに使う。
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九孔螺という海貝。刺身・天麩羅・野菜炒めなどに使う。
料理の種類
- 台湾早餐:「早餐(ザオツェン)」は台湾語で「朝食」を意味し、台湾朝食と訳される。台湾式の朝食は和洋中台、4タイプの食文化が一つの朝食屋に集合し、餅・鉄板焼きの麺・ハンバーガー・サンドイッチ・台湾式御握り・小籠包・生焼き饅頭・焼き餃子・鹹豆漿・麺線の一種である蚵仔麺線(椎茸出汁の牡蠣いり素麺)・麻油鶏(鶏肉入り胡麻油と米酒のスープ)・果汁など多彩な朝食を堪能できる。
- 台湾小吃:古くから小吃と呼ばれる外食文化も盛んであり、朝食・昼食・夕食はすべて外食で済ませられる。特に夜市では様々な屋台で料理を楽しむことができ、これらの屋台料理・夜市料理・軽食は台湾小吃(台湾語では「小點」)と呼び方で一括され、台湾の食文化の重要な一翼を担っている。
- 台式熱炒:日本の居酒屋料理のように、主に夕食でお酒と一緒に食べる料理。料理のスタイルで見ると、見た目に拘った豪華な一皿もあって、庶民的な家庭料理も発達してきている。
- 台湾素食:日本の明治以前の状況と同じ、仏教や動物保護上の理由から肉や魚を使わない精進料理が発達している。中国や日本の肉食料理が台湾に入ってもそれは変わらない。台湾では、明らかに台湾風の味付けをした精進料理は「台湾素食」という専有名詞で呼んでいる。この台湾素食は全国に広まり、学生の食堂から軍人の戦闘糧食まで精進料理を提供する事ができる。ただし、「素」という文字とは正反対に、日本の素朴的な精進料理と大きく異なり、台湾では油豆腐・グルテン・唐辛子などを用い、台湾料理の中でも特に濃厚な味付けである。そして作られた料理は素鶏・素魚・素肉等と呼ばれ、本物の肉料理とそっくりな食感が最大な特徴である。
- 流水席 :台湾式の宴席料理を指す。台湾式の宴席は潮州料理と同様にフカヒレや燕の巣もよく使われていて、ナマコやアワビも時々に登場する。
- 清粥小菜:料理一つ一つの分量があまり多くなく、お粥と一緒に食べさせる郷土色豊かな副菜という形は一般化とされ、このような小皿料理は台湾語で「清粥小菜(チンチューシャオツァイ)」と呼ぶ。料理にお粥が添えられるという点は福建料理と客家料理の要素が混ざったものの、昔の台湾人の食習慣の反映する資料だと挙げられる。
- 漢方薬膳:中国から伝来した漢方・医食同源などの理論が深く浸透された故に、漢方薬自体は料理の食材となり、強い薬味が特徴として挙げられる。
- 内臓料理:肉類では豚肉が中心であることも大きな特徴の一つで、元来開拓民にとって犂や荷車を引かせる大切な家畜である牛を食べる習慣は無かった。食材を無駄なく使うといった発想から動物の内臓や血液を用いる料理も発達しており、鴨の血の固まり・牛の胃腸の細切り・豚の腎臓の煮込み・舌の揚げ物など、もつや血液を多用する料理が多い。現代の牛肉麺などの牛肉料理は、基本的に日本統治時代後の中国から伝わった習慣である。
中華・和食との比較
結論から言えば、台湾料理は中華料理よりも甘く、日本料理よりも塩が少ない。
中華料理との主な差は「甘い味付け」にある。刺激的な調味料を多用する中華料理と違い、繊細で淡白な味付けは台湾料理の主流であり、野菜炒め以外の料理は油っぽさを意図的に抑えている。一つの円卓の周りに多人数でゆっくりと食べる中華料理とは異なり、台湾料理はB級グルメとして発展することが多い。食べ歩いたり、屋台街のテーブルで手早く食べきったり、一品料理として扱われたりするのが最大の違いである。中国の薬膳料理も受けていることから、油で揚げた漢方系の植物が多用し、普通の香辛料より薬味の匂いのほうが強いと言われている。薬味の苦手な人にとっては、台湾での食事に困る可能性がある。
日本料理との主の差は「塩の少なさ」にある。台湾人は健康を意識している為、精進料理以外の料理では塩分をできるだけ避けている。日本料理と共通する部分も多いが、それは台湾総督府時代からの影響であった。日本の明治・大正時代の頃の醤油・味噌・椎茸・鰹節・出汁・乾物・塩漬けなどの和風食品は台湾に広く浸透し、普通の場合には台湾の和風中華に親しみを感じる日本人も居るが、昔の日本の味つけが起源のため、現代の日本料理と味違いの場合が多い。台湾メディアの『三立新聞網』によれば、「台湾人は日本の食事に慣れてしまうと、台湾に帰ったら台湾料理の味を感じない…」と報道され、これは台湾料理が如何に薄味になっているか分かる[5]。既に塩分の多い味噌汁やラーメンスープに慣れている一部の日本人にとっては、台湾料理を物足りなく感じることもある。
全体的な印象においては、本場の中華料理や日本料理より茶色とベージュ色の食べ物が圧倒的に多い。それは中国の漢方、日本の出汁、またもち米の多用からだと言われている。台湾料理は中華や和食の間のような物であり、これらの範疇に入れていない物もある。
各地の台湾料理
日本での台湾料理
現在の日本では台湾料理店と称する店舗が増えているが、その中の多くは中国の中華料理店を「台湾料理」という文字に書き換えるだけ。台湾ラーメンや台湾まぜそばのように台湾発祥ではなく、実は日本で誕生したものもあり、これを本場の台湾料理として売っている店も少なくない。また、台湾カステラのように複数の台湾食品を同じ日本語の名前で呼称するケースもある。日本で、偽物の台湾料理に誤魔化されるかどうかを確かめたいなら、その料理の外観を台湾のネットで検索した写真や本稿で述べた文字と比較すればいい。
台湾での台湾料理
台湾料理のうち、比較的ポピュラーなメニューの例としては、以下のようなものがある。台湾語読みが定着している料理名は、台湾語発音をカタカナと白話字で表記した。
麺類
- 台湾料理で使う麺は、基本的には華南の特徴である、うるち米を原料としたライスヌードルである。ビーフンが代表的であるが、「米苔目」(ビータイバッ;bí-thai-ba̍k)と呼ばれる太いものもある。これに加えて、華北をルーツに福建省から伝えられた各種小麦粉の麺も用いられる。多くはやや太めの麺であるが、日本のラーメンのように鹹水を使用しないため、全体に白っぽいものが多い。「麵線」(ミースヮー;mī-soaⁿ)と呼ばれる素麺に似た極細麺もある。また、メニューによっては、例えば担仔麺のように、小麦の麺かビーフンか冬粉(ダーンフン;tang-hún)を選択できるものもある。
- 牛肉麺(中国語と注音:ニョウロウミエン/ㄋㄧㄡˊ ㄖㄡˋ ㄇㄧㄢˋ、台湾語と 白話字:グーバーミー/gû-bah-mī)
- 牛骨や筋からダシをとったスープにやや太めの麺を入れ、牛肉の角切を煮込んだものや香菜などをトッピングしたもの。元来台湾では貴重な挽獣でもあった牛を食べる習慣はなく、牛肉麺も戦後外省人によってもたらされたものと言われている。現在では台湾料理の最もポピュラーなメニューの一つとして定着している。八角など中華料理特有の香辛料をふんだんに使ってあるため、日本の中華麺とは異なった独特の風味がある。牛肉に加えて牛筋をトッピングしたもの、辛口のもの(紅焼牛肉麺)、カレー風味のもの(咖哩牛肉麺)など、いろいろなバリエーションがある。
- 担仔麺 (中國語:ダンザイミェン/ㄉㄢˋ ㄗㄞˇ ㄇㄧㄢˋ、台湾語:ダーアーミー/tàⁿ-á-mī)
- エビでだしを取った味噌仕立てのスープに麺を入れ、豚そぼろ肉や刻みネギ、もやしなどがトッピングされている(牛肉麺などと比べると、分量的には一般にやや小ぶりである)。もともとは台南の名物料理であり、中でも「度小月」のものが特に有名。(麺の代わりにビーフンを使ったものもある)また、担仔麺に加えて、香腸(腸詰)や肉団子や肉そぼろなどのサイドメニューを加えることができる。日本では「タンツーめん」とルビを振る場合が多い。また、名古屋など中京圏で見られる台湾ラーメンは、この担仔麺を元にアレンジしたものである。
- 麺線
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- 大腸麺線(中国語:ダーチャンミェンシェン/ㄉㄚˋ ㄔㄤˊ ㄇㄧㄢˋ ㄒㄧㄢˋ、台湾語:デゥアデゥンミースヮー/ toā-tn̂g-mī-soaⁿ)
- 鰹ダシベースの梅ニンニクのような味のとろみがある汁に細麺を入れた素麺料理。名前の通り「大腸」が輪切りになって入っている。西門町にある阿宗麵線が非常に有名である。性質上取り分けが難しく、店頭で取り分けている姿は一種のパフォーマンスともなっている。小椀(35元)と大椀(50元)がある。さらにトッピングとして辣椒(唐辛子)、蒜醤(ニンニク醤油)、烏酢(ウスターソースに似た調味料。黒酢とは異なる。)の3種類がある。
- 蚵仔麺線(中国語:ケーザイミェンシェン/ㄎㄜ ㄗㄞˇ ㄇㄧㄢˋ ㄒㄧㄢˋ、台湾語:オーアーミースァ/ô-á-mī-soaⁿ)
- 上記のものの具をカキに代えたもの。台湾各地で一般的である。
- 猪脚麺線
- 煮込んだ豚足を具材とする麺線。厄祓いや誕生日に食される。
飯類
- 滷肉飯または魯肉飯 (中国語:ルーロウファン/ㄌㄨˇ ㄖㄡˋ ㄈㄢˋ、台湾語:ローバープン/ ló͘-bah-pn̄g)
- 飯の上に煮込んだ豚肉をトッピングして、甘辛いタレをかけたもの(店によりこれに高菜や固ゆで卵などを乗せている)[6]。値段も安く、最も庶民的な料理の一つで人気が高い。地方によっては異なる名称で呼ばれることもあり、台湾北部で滷肉飯と呼ばれる料理と台湾南部で滷肉飯とでは豚肉の形状や味付けなどが異なる。
- 鶏肉飯(中国語:ジーロウファン/ㄐㄧ ㄖㄡˋ ㄈㄢˋ、台湾語:ゲーバープン/ ke-bah-pn̄g)
- 飯の上に蒸して細く裂いた鶏肉を乗せ、甘辛いタレをかけたもの。魯肉飯同様最も庶民的な料理の一つ(嘉義市の「火鶏肉飯」のように、鶏の代わりに七面鳥を使ったバリエーションもある)。
- 排骨飯 (中国語:パイグーファン/ㄆㄞˊ ㄍㄨˇ ㄈㄢˋ、台湾語:パイグップン/ pâi-kut-pn̄g)
- 排骨(醤油などで下味を付けた後、薄く衣をつけて油で揚げた豚の骨付きあばら肉)と炒めた野菜などを飯の上に乗せた料理[6]。台鉄弁当など、台湾の駅弁の定番メニューである[7][8]。
- 肉粽 (中国語:ロウツォン/ㄖㄡˋ ㄗㄨㄥˋ、台湾語:バーヅァン/bah-chàng)
- 台湾風ちまきのことで、味を付けたもち米を、ハスの葉、竹の葉や竹の皮で包んで蒸したもの[6]。豚の角煮やシイタケなどの具を入れる場合もある。具は肉類や海鮮など、店や地方によってさまざまなバリエーションがある。伝統的に、端午節に食べる習慣がある。
おかず類(小菜を含む)
- 鹹蜊仔(台湾語:キャムラーアー/kiâm-lâ-á)
- さっと茹でたタイワンシジミをニンニクと共に醤油漬けにしたもの。この種のシジミは日本で一般に食用とされるシジミ類よりは一回り大きいので、可食部の肉も比較的大きい。
- 菜脯蛋(台湾語:ツァイボーヌン/chhài-pó͘-nn̄g)
- 菜脯(切干大根)の入った玉子焼き。
- 魩仔魚炒土豆(台湾語:ブタヒーチャートータウ/but-á-hî tshá-thó͘-tāu)
- 揚げピーナッツ(炒土豆)としらす干し(魩仔魚)をからからに炒ったもの。
スープ類
- 貢丸湯(中国語:ゴンワンタン/ㄍㄨㄥˋ ㄨㄢˊ ㄊㄤ、台湾語:コンワントゥン/kòng-oân-thng)
- 肉団子入りのスープ。4つに割れている形をした肉団子を出すお店が比較的多い。新竹が有名。
- 魚丸湯(中国語:ユーワンタン/ㄩˊ ㄨㄢˊ ㄊㄤ、台湾語:ヒーワントゥン/hî-oân-thng)
- (注音: ㄩˊ ㄨㄢˊ ㄊㄤ)
- つみれ入りのスープ。福州風の中に豚肉を包み込んだものが、新北市淡水区などで有名となっている。
- 蛤蜊湯(中国語:グーリータン/ㄍㄜˇ ㄌㄧˋ ㄊㄤ、台湾語:ハムマートゥン/ham-á-thng)
- ハマグリ入りのスープ。庶民的なスープである。
- 冬瓜との相性が抜群であり、冬瓜を具として供する場合も多い(冬瓜蛤蜊湯)。
- 下水湯(中国語:シャーシュイタン/ㄒㄧㄚˋ ㄕㄨㄟˇ ㄊㄤ、台湾語:ハースイトゥン/hē-chuí-thng)
- 豚のモツと鶏の砂肝などの内臓類をショウガを効かせ煮込んだスープ。「下水」とは台湾でモツ肉という意味である。
- 花枝羹、花枝焿(中国語:ホワジーゴン/ㄏㄨㄚ ㄓ ㄍㄥ、台湾語:フエーキーキー,フエーキーケー/hoe-ki-kiⁿ,hoe-ki-keⁿ)
- イカの切り身、またはすり身入りのとろみスープ。
屋台料理
- 蚵仔煎 (中国語:ケーザイジェン/ㄎㄜ ㄗㄞˇ ㄐㄧㄢ、台湾語:オーアージエン/ô-á-chian)
- 台湾風カキのオムレツ。小ぶりの煎ったカキに細かく刻んだキャベツなどの野菜を加え、卵とサツマイモ澱粉で綴じる。卵を使わない調理法もある。甘辛い赤色のソースをかけて食べる。
- 棺材板または官財判 (中国語:クアンツァイバン/ㄍㄨㄢ ㄘㄞˊ ㄅㄢˇ、台湾語:クァツァーパン/koaⁿ-chhâ-pang)
- 揚げた食パンの中をくり抜いてクリームシチューを入れ、さらにパンで蓋をしたもの。棺とは棺の様に置けること、材とは中身が植物的な材料から作ったものであること、板とは全体の形が四角形であること、その三つの理由でこの名前を付けた。しかし棺材板という名前からは死人や亡霊と共に狭い部屋で一緒に住むことを発想しやすく、これはあまりも縁起が悪い為、今の台湾では代わりに同じ発音の官財判(官僚に出世し、財産を持つという意味)で書かれる場合もよくある。台湾のどの地方でも作られるが、もともとは台南の名物料理。パンの中に入れる具は店によっていろいろなバリエーションがある。南部地域の洋食風の屋台料理。
- 油飯 (中国語:ヨウファン/ㄧㄡˊ ㄈㄢˋ、台湾語:イウプン/ iû-pn̄g)
- 台湾風のおこわ。水に浸したもち米を豚肉、シイタケなどと油で炒め、醤油等で味付けして蒸したもの[6]。鶏肉や筍などを用いる場合もある。
- 蘿蔔糕または菜頭粿(中国語:ルオポガオ/ㄌㄨㄛˊ ㄅㄛ˙ ㄍㄠ、台湾語:ツァイタウクエ/chhài-thâu-kóe)
- 日本語の通称は大根餅。千切りにして茹でた大根や、油で炒めた豚ひき肉・エビ・ネギを水でといた米粉と混ぜて蒸した後、表面を油で軽く焼いて食べる。旧正月の定番料理として作られていたが、今や一年中を通して食べられている。香港から伝わり定着したため、飲茶の中の一品としても食べられる。
- 臭豆腐 (中国語:チョウドウフ/ㄔㄡˋ ㄉㄡˋ ㄈㄨˇ、台湾語:チャウタウフー/chhàu-tāu-hū)
- 豆腐を発酵させた食品。油で揚げる臭豆腐、辛いスープで煮込んだ麻辣臭豆腐、串焼き臭豆腐、蒸し臭豆腐などさまざまな調理法がある。かなり強烈な匂いを発することでも知られており、屋台でこれを揚げているときなどは、10mくらい先からでも匂いでそれとわかる。食べる際には調理時ほど匂いは強烈ではない。
- 甜不辣 (中国語:ティエンブーラー/ㄊㄧㄢˊ ㄅㄨˊ ㄌㄚˋ、台湾語:テンプーラー/thiân-puh-la)
- 日本から伝わった九州の天ぷら、関東での薩摩揚げにあたる。魚のすり身を揚げて、一口大に切り香辛料をかけて食べる屋台料理。
- 基隆天麩羅は台湾の甘辛い赤色のソースをかけて食べる。名前の通り基隆がルーツ。胡瓜との相性が良いため、薄切りの胡瓜の甘酢漬けを乗せて出される。
- 滷味 (中国語:ルーウェイ/ㄌㄨˇ ㄨㄟˋ、台湾語:ロービー/ló͘-bī)
- 台湾風煮込み。セルフサービスでお客が肉、野菜、練り物、インスタント麺などを好きな食材を選んでザルに取ると、店員が八角を効かせた味の濃い醤油スープ(滷水)で煮込んでくれる。学生に人気があり、師大夜市などの学生街で多くみられる。
- 豬血糕 (中国語:チューシェガオ/ㄓㄨ ㄒㄧㄝˇ ㄍㄠ、台湾語:ディーフエークェ/ti-hoeh-kóe)
- 豚の血ともち米を蒸した食品。食べ方は蒸す、煮る、串焼きなど。串焼きにした豬血糕はピーナッツ粉と香菜をまぶして食べる。
- 肉圓 (中国語:ロウユエン/ㄖㄡˋ ㄩㄢˊ、台湾語:バーワン/bah-uân)
- ぶるんとした皮があり、中は粗い肉団子のような餡が入る。
- 刈包
- 台湾風にアレンジされたハンバーガー。
- 蛋餅
飲料・デザート
- 愛玉 (中国語:アイユー/ㄞˋ ㄩˋ、台湾語:オーギョー/ò-giô)
- 愛玉子から抽出した多糖類で固めた黄色いゼリー状の食品。ボウルのような大きな器入れて冷やし固めたものを、お玉などで掬って小分けにし、これに氷を加え、シロップやレモン汁をかけて食べる。黒い仙草と並んで夜市での代表的なデザートメニューのひとつ。
- タピオカティー珍珠奶茶 (中国語:ヂェンヂューナイチャー/ㄓㄣ ㄓㄨ ㄋㄞˇ ㄔㄚˊ)
- タピオカティー。烏龍茶やミルクティーにタピオカパールを入れた飲料。「泡沫紅茶」などの名前でも知られている。タピオカの粒が大きく、これを吸うためにかなり太めのストローを使用する。特に若い女性の旅行者を中心に日本でも人気が出ており、2000年頃から東京などでもこれをメニューに加えている店が出始めている。
- 木瓜牛奶 (中国語:ムーグワニウナイ/ㄇㄨˋ ㄍㄨㄚ ㄋㄧㄡˊ ㄋㄞˇ、台湾語:ボックエグーリン/bo̍k-koe-gû-lin)
- パパイアの果汁と牛乳を混ぜた飲料。高雄にある「高雄牛乳大王」のものがルーツといわれている。現在では台湾全国各地に広まっている。
- 他にもマンゴー、イチゴ、アボカドなど新鮮な果物や野菜の牛乳飲料がある。
- 刨冰 (中国語:バオビン/ㄅㄠˋ ㄅㄧㄥ、台湾語:ツアーピン/chhoah-peng、台湾語漢字:剉冰)
- かき氷。普通の氷を削った刨冰にはマンゴー、イチゴなどの果物やトウモロコシ、ピーナッツなどのトッピングを乗せる。
- 雪花冰(シュエホゥアビン)削った氷に練乳を混ぜて作ったフワフワとした食感のカキ氷である。
- 泡泡冰(中国語:パオパオビン/ㄆㄠˋ ㄆㄠˋ ㄅㄧㄥ)は果物などの材料と氷をかき混ぜて空気を含ませるソフトクリームのような食感のデザートである。
- 豆花 (中国語:ドウホゥア/ㄉㄡˋ ㄏㄨㄚ、台湾語:ダウフエー/tāu-hoe)
- 焼石膏で固めた柔らかい豆腐に、黒蜜などのシロップを掛け、煮豆や白玉などをトッピングして食べるデザート。量の割にはカロリーが抑え目で、タンパク質も取れるヘルシーなデザートとして、日本でも女性を中心に人気。
- 酸梅湯(中国語:スヮンメイタン/ㄙㄨㄢ ㄇㄟˊ ㄊㄤ)
- 青梅を燻製にして乾燥させた烏梅を水出し、または煮出した物を濾し、甘草、キンモクセイ、砂糖などを加え、冷やした飲み物である[9][10][11]。元となった飲み物は1290年以前の宋の時代の書物「武林舊事」に記述され、清の時代に酸梅湯の名が正式名称として定着した。当初は宮廷でのみ飲まれていたが、次第に民衆に広がった。中華の伝統的な夏の暑さを払う飲み物である[12][13]。
菓子
脚註
- ^ a b c 下川 pp155-159, p280
- ^ 下川 p88, p142, p280
- ^ 下川 pp140-142, pp151-154
- ^ 下川 p98
- ^ 日本に行って困ったこと 「それは台湾料理の味がしないと感じること」=台湾メディア Seachina 2021-06-17 14:12 (2021年7月19日閲覧)
- ^ a b c d 福永淑子「台湾料理 -米を中心にして-」『調理科学』第21巻第2号、日本調理科学会、1988年、119-124頁、doi:10.11402/cookeryscience1968.21.2_119。
- ^ 台鉄弁当公式ウェブサイト (携帯)(正体字中国語)
- ^ 台湾の駅弁 台北ナビ
- ^ 金受申 (1989). 老北京的生活. 北京出版社. pp. 15-18. ISBN 7200009393
- ^ “酸梅汤渐行渐远”. 深圳飲食网. (2005年6月30日) 2015年4月29日閲覧。
- ^ “Pick up something Chinese”. China Daily (4 June 2007). 21 December 2008閲覧。
- ^ Brown Chiang, Lydia (1995年). “Peking Cuisine: The Food of Emperors”. Travel In Taiwan. 21 December 2008閲覧。
- ^ Li, Rocky (1 July 2008). “Suanmeitang, Cool and Refreshing, Like a Summer Breeze”. Beijing This Month. 2009年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。21 December 2008閲覧。
参考文献
- 下川裕治(2013年). 『週末台湾でちょっと一息』, 朝日文庫, 朝日新聞社. ISBN 9784022617729