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'''ウラン235'''は[[ウランの同位体]]の一つ。1935年にArthur Jeffrey Dempsterにより発見された。[[ウラン238]]とは違いウラン235は[[核分裂反応|核分裂]]の連鎖反応をおこす。ウラン235の[[原子核]]は[[中性子]]を吸収すると2つに分裂する。また、この際に2個ないし3個の中性子を出し、それによってさらに反応が続く。[[原子力発電]]では多量の中性子を吸収する[[ホウ素]]、[[カドミウム]]、[[ハフニウム]]などでできた[[制御棒]]で反応を制御している。[[核兵器]]では反応は制御されず、大量の[[エネルギー]]が一気に解放され[[核爆発]]を起こ


ウラン235の核分裂で発生するエネルギーは一原子当たりでは200 [[SI接頭辞|M]][[電子ボルト|eV]]であり、1[[モル]]当たりでは18 [[SI接頭辞|T]][[ジュール|J]]である。
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自然に存在するウランの内ウラン235は0.72パーセントであり<ref name="r">長倉三郎ほか編、『[http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/08/6/0800900.html 岩波理化学辞典]』、岩波書店、1998年、項目「ウラン」より。ISBN 4-00-080090-6</ref>、残りの大部分はウラン238である。この濃度では[[軽水炉]]で反応を持続させるのには不十分であり、[[濃縮ウラン]]が使われる。一方、[[重水炉]]では濃縮していないウランでも使用できる。核爆発を起こさせるためには90パーセント程度の純度が求められる。

==利用==
== 利用 ==
*[[第二次世界大戦]]で[[広島市への原子爆弾投下|広島]]に[[リトルボーイ|投下]]された[[原子爆弾]]は、ウラン235を用いていた。
*原子力発電の燃料として広く利用されている。
*1970年代の[[ソビエト連邦]]の海洋[[偵察衛星]]([[RORSAT]])にはウラン235を燃料源とする[[原子炉]]が搭載されていた。
*核兵器のエネルギー源として利用され、[[第二次世界大戦]]で[[広島市への原子爆弾投下|広島]]に投下された[[原子爆弾]]は、ウラン235を用いていた。
==半減==
*原子力電池の燃料として1970年代の[[ソビエト連邦]]の海洋[[偵察衛星]]([[RORSAT]])にはウラン235を燃料源とする[[原子炉]]が搭載されていた([[コスモス954号]]も参照)

== 半減 ==
7億400万年<ref name="r" />。
7億400万年<ref name="r" />。


==参考文献==
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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==関連項目==
== 関連項目 ==
*[[ウランの同位体]]
*[[ウランの同位体]]
*[[核分裂反応]]
*[[核分裂反応]]
*[[核兵器]]
*[[核兵器]]
*[[半減期]]


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2024年5月31日 (金) 04:59時点における最新版

ウラン235
概要
名称、記号 ウラン235,235U
中性子 143
陽子 92
核種情報
天然存在比 0.72%
半減期 7.04(1)×108 y
親核種 235Pa
235Np
239Pu
崩壊生成物 231Th
同位体質量 235.0439299 u
スピン角運動量 7/2-
余剰エネルギー 40914.062 ± 1.970 keV
結合エネルギー 1783870.285 ± 1.996 keV
アルファ崩壊 4.679 MeV

ウラン235 (uranium-235, 235U) はウランの同位体の一つ。1935年にアーサー・ジェフリー・デンプスターにより発見された。天然から採掘されるウランのほとんどを占めるウラン238とは違いウラン235は核分裂の連鎖反応をおこす。ウラン235の原子核中性子を吸収すると2つに分裂する。また、この際に2個ないし3個の中性子を出し、それによってさらに反応が続く。現存する全ての原子(元素)が放射性同位体を持つ中でも入手難度、精製、濃縮、半減期の長さなどから原子力分野に用いられ、原子力発電では多量の中性子を吸収するホウ素カドミウムハフニウムなどでできた制御棒で反応を制御している。大量のエネルギーが一気に解放すると核爆発を起こし核兵器として利用される。

技術分野で呼称される場合「にひゃくさんじゅうご」ではなく「に、さん、ご」と呼ばれることがほとんどである[注釈 1]。ウラン235の核分裂で発生するエネルギーは一原子当たりでは200 MeVであり、1モル当たりでは19 TJである。

自然に存在するウランの内ウラン235は0.72パーセントであり[1]、残りの大部分はウラン238である。この濃度では軽水炉で反応を持続させるのには不十分であり、濃縮ウランが使われる。一方、重水炉では濃縮していないウランでも使用できる。核爆発を起こさせるためには90パーセント程度の純度が求められる。

利用

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半減

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7億400万年[1]

脚注

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注釈

[編集]
  1. ^ 原子量100以上の放射性同位体のほとんどが同様

出典

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  1. ^ a b 長倉三郎ほか編、『岩波理化学辞典』、岩波書店、1998年、項目「ウラン」より。ISBN 4-00-080090-6

関連項目

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