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 開発するシステムによって、適しているプログラミング言語は異なる。このため、プログラマーは複数の言語を使い分けることが求められている。数あるプログラミング言語の中から日経クロステックの読者がスキルアップしたい言語は何か、逆に利用したくない言語は何か。アンケート調査の結果から、それらを紹介する。

Pythonに過半数の票が集まる

 日経クロステックが実施したアンケートでは、「今後、スキルアップしたいと思う言語はどれですか」という問いを設けた。読者がスキルアップしたいということは、今後の利用の広がりを見込んでいるということだ。複数回答で選んでもらったところ、第1位は「Python」だった。回答者358人中、65.6%の235人が今後のスキルアップを望んでいた。

今後スキルアップしたい言語。上位10言語を示した
今後スキルアップしたい言語。上位10言語を示した
(出所:日経クロステック)
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 2022年のプログラミング言語利用実態調査でもPythonが第1位であり、54.0%の回答者がスキルアップを望んでいた。2023年の調査では、その割合がさらに上がっている。今後もPythonは有望だと考えている読者が多いのだろう。

 ただし自由回答欄には、Pythonが注目されすぎている現状に疑問を呈するコメントも見られた。具体的には次のような意見である。

  • ライブラリーが充実しているからPythonがもてはやされている。しかしツールとしては使えるが開発言語としてはあまり使えないと考えている
  • 複数人開発でPythonを採用する場合は、エリートばかりで編成しないと後々大変なことになる予感しかしない

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に欠かせないデータ分析システムや人工知能(AI)の開発にPythonが有用なのは間違いない。だが、Pythonによる開発が向かないシステムもある。開発対象を見極めて、適切な言語を利用することは今後ますます重要になるだろう。

 スキルアップしたい言語の第2位は「JavaScript」(109人)。現在使っている言語では第2位のJavaと僅差で第3位だったが、ここではJavaよりも上の順位になった。

 第3位は「Java」(92人)。2022年の調査ではスキルアップしたい言語の第5位だったので、順位を上げる結果になった。2023年9月にはサポート期間が長いLTS(Long Term Support)版の「Java 21」が登場。旧バージョンのJavaからアップデートするシステムが今後増えると考えられ、これを背景に順位が上がった可能性がある。

 一方、順位を下げた言語もある。2022年の調査で第2位だった「Rust」は、2023年の調査では第4位に下がった。技術面で注目を集めたが、実際に採用した事例はまだそんなに多くない。様子見の人が増えたのかもしれない。