「最期まで猫と一緒にいたい」を叶える“永年預かり制度” 高齢者と猫をマッチング
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猫を飼いたいが、自分の年齢だと最期まで面倒を見てあげられる自信がない――。そう考えた結果、猫を飼うのを諦めた老人は少なくないはず。
NPO法人 猫と人を繋ぐ ツキネコ北海道」による独自のシステム“永年預かり制度”に注目が集まっている。

人間側に年齢制限を設ける譲渡会も


犬や猫の譲渡会の中には、飼い主が先に亡くなるリスクを鑑みて、人間側に年齢制限を設けているところもある。確かに飼い主が亡くなった後、遺された猫を引き取ってくれる当てがあるならともかく、引き取り先がないとなると……。20年以上生きる長寿猫もいることを考えたら、猫好きな老人ほど「ただ1匹遺すことになるのは可哀想」と考えるだろう。

そんな悩みを抱える猫好きたちの間で話題になっているのが、北海道札幌市を拠点とした「NPO法人 猫と人を繋ぐ ツキネコ北海道」が実施している“永年預かり制度”だ。こちらは同団体が経営している保護猫カフェに「猫をレンタルしてほしい」と年配女性が訪ねてきたことがきっかけで生まれたもの。女性は夫を亡くした寂しさを感じており、せめて大好きな猫を飼いたいと思ったが、家族から年齢を理由に反対されていたのだ。
始めは「猫をレンタルするなんて」と感じた代表の吉井美穂子さんも、女性側の事情を聞いて納得。2015年頃から正式にシステムとして導入して、これまで猫と高齢者を100件ほどマッチングしてきた。

譲渡に時間のかかる猫もマッチングできる


「NPO法人 猫と人を繋ぐ ツキネコ北海道」に問い合わせたところ、永年預かり制度は、猫を飼いたい人間だけでなく、団体側にとってもメリットが大きいらしい。

「高齢だったり、持病のようなものを抱えていたり、普通であれば譲渡に時間のかかる猫もマッチングさせることができます。子猫を飼いたがる方は多いんですが、動き回りますし、最近の猫は20年以上生きる場合もありますし、やはり高齢者が飼うとなると現実的に考えて難しいんですよね」

マッチングの際は、「ペット可住宅か」、「家族がいるか」といったことをチェックする。譲渡後、「NPO法人 猫と人を繋ぐ ツキネコ北海道」側から定期連絡をするようなことはとくにないが、相手から「最近体調が悪い」といった相談を受けることはあるそうだ。


「NPO法人 猫と人を繋ぐ ツキネコ北海道」では、永年預かり制度が他の団体にもどんどん広がっていってほしいと考えている。確かにメリットばかりの、このシステム。もっと普及してもいいように思うが……。

「まだ新しい仕組みなので、他の団体は、デメリットをいろいろ考えて及び腰になってしまうのかもしれません。たとえば、『戻ってきた猫をどうしたらいいのか?』とか。私たちの場合は、運営している保護猫カフェで戻ってきた猫の面倒を見たり、100名ほど抱えている預かりボランティアさんたちにまたお願いすることができています。
いろいろ解決しない部分もあるんだと思いますが、永年預かり制度は、もっと世の中に広がっていってほしいです。なんといっても団体と高齢者、猫ちゃんにとってWin-Win-Winのシステムですから」

(原田イチボ@HEW)